加藤七宝

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七宝焼の製作実績

当製作所では、いち早く分業体制だった工程をほぼ一貫して生産できる体制を整えることで、アクセサリーなどの小物類から伝統的な花瓶など、定番品・特注品かかわらず幅広い尾張七宝の製品を作り続けています。
これまで蓄積してきた技術・経験・設備を活かしながら、私たちだからこそできることを考え、これまでにない新しい「尾張七宝のカタチ」を常に模索し創造しています。

省胎七宝

省胎七宝とは、通常の有線七宝と同じような工程を経たのち、酸性液につけ込み素地である銅(胎)をすべて溶かして取り除き、ガラス質の釉薬と模様の輪郭に使用する金属線だけで完成させた技法のことです。金属素地がないため透過性があることが特徴で、その独特の美しい表情は他を圧倒するとも評価されています。 
明治30年頃には考案されていたと伝わる技法ではありますが、ひびが入りやすく非常に不安定な技法であり、数ある七宝技法の中でもとりわけ技法難易度が高いとされています。
素地がないため一般的な七宝作品に比べ圧倒的に脆く、不良率は7割以上ともいわれ、完品は大変希少なものになっています。こういった理由から、近年ではこの技法を習得している職人はほとんどいない状況で、新たに省胎七宝作品が生まれることは、ほとんどありません。
作者・加藤勝己は、先人が苦労の末、築き上げたこのような技法が失われつつある現状に長年危機感を抱いておりましたが、自身の工房を守ることに日々追われ、なかなか手をつけられずにいました。
2011年、加藤七宝製作所の代表を退いたことで、自身の創作活動を始められる環境を得ました。
そして様々な作品を手掛ける傍ら、2年近くの歳月を費やして省胎七宝の試作・研究を続けてまいりました。
その結果、下引き、植線、彩色、焼成方法、研磨、溶解の方法など、あらゆる工程を見直し工夫することによってその完成度を高め、これまでの不良率は劇的に改善させることに成功しました。
専用の照光器も開発し、2つの顔を持つ七宝が完成しました。
2枚の写真は弊社2代目加藤勝己が手掛けた、葡萄文省胎七宝ランプです。

「MATOU(まとう)」シリーズ(骨壷)

故人をより身近に感じられる、手元供養という形が増えてきている現代。
約2年の試作開発期間を経て、2013年4月、手元供養に適した、小さな骨壺を商品化することができました。
(株)メモリアルアートの大野屋との共同開発品で、「MATOU(まとう)」シリーズとして、全6種同社より発売中。
その美しさと高い技術力が評価され、2013年グッドデザイン賞を受賞いたしました。
その後順調に受注数を伸ばし、今では当製作所を代表する商品へと成長いたしました。

(株)メモリアルアートの大野屋 
「まとう」紹介HP

表札(BS朝日「アーツ&クラフツ商會」番組企画での制作)

左側(阿部様)の表札は2015年5月放送の、BS朝日「アーツ&クラフツ商會」という番組企画において制作した作品です。(第5回放送分)
この番組は、伝統工芸作品が、現代のライフスタイルに合ったプロダクトに変換されたときに、どこまで魅力的になれるのか、をテーマに作られる番組です。
作品に関する詳細等は、以下の番組サイト内でまとめられています。
この作品は番組のために制作した完全一点もので、残念ながら販売はしておりません。
右側(竹内様)の表札は、新築祝いにとのご依頼があり、お作り致しましたオーダーメイド表札です。文字部分はご依頼主様による手書き文字から型を作成し、丁寧に釉薬で表現しています。取り付け場所やその方法によっては、お受けできない場合もございますが、まずはお気軽にご相談ください。
「アーツ&クラフツ商會」番組HP内 作品アーカイブ 第5回色褪せない想いを伝える尾張七宝の表札

七宝製手洗器

1年半ほどの開発期間を経て、2013年に商品化することができた七宝製手洗器。赤透、青透、緑透の全3種類。
尾張七宝だからこそ醸し出せる煌めく独特の素材感で、その空間を優美に演出します。
試作開発の段階で、思うように釉薬が定着しないという想定外の難題が出て一時は商品化を断念せざるを得ないかと思われましたが、粘り強く製法の見直しと改善を繰り返し、無事に商品化することができました。
株式会社 カクダイHP ウェブカタログ

アクセサリー

ペンダントトップ 明日風
弊社で手がけるカジュアル系アクセサリーをベースにした、他社ブランドアイテム。
イメージが固まっている場合、ご相談から数カ月程度の比較的短期間での開発も可能です。

リバーシブルペンダント 明日風
シンプルな見た目とは裏腹に、一枚板を両面綺麗に仕上げることは、意外なほど高い技術が求められます。


「明日風」HP

オンネイルジュエリー

指輪のような感覚で付けられる尾張七宝のジュエリー作品です。
尾張七宝の可能性を拡げるべく、その魅力を極限まで凝縮し究極に美しいものを創りあげ、世界の女性を魅了させることを目指しています。
カジュエーゼブランドのひとつとして、歯科技工士さんやジュエリーデザイナーさんたちとの協同で制作にあたっています。
ただし、そのハードルは高く、デザインや素材の研究、製法・技法など、様々な角度から考えていく必要があり、まだまだ課題を多く残しております。今はまだ
サンプルで足踏みしている段階ですが、いつか必ず完成品をお見せできるように取り組んでまいります。
カジュエーゼ(CAJEWESE) 雅シリーズ公式サイト

伝統工芸ネイル

伝統工芸ネイルなるものを手がける、ネイルサロン藍rishのオーナーネイリスト・山田愛理さんとの出会いから約2年が過ぎた頃、七宝の常識にとらわれない新商品が完成しました。
「本物」の伝統美を気軽に楽しみ知ってもらいたい。その想いに強く共感し開発が始まりました。
しかしながら、初めは七宝をネイル素材としてどのようなカタチにすればいいのか、全くイメージできずにいました。ネイルアートについて教えてもらうところから始まり、厚み制限や販売価格との折り合いがある中、「らしさ」をどう表現できるのか、多くの課題に直面しながらも試行錯誤の末ようやくたどり着いたのは、深みのある色彩をまとったフレーク状の七宝素材というカタチ。
七宝は「美しさ」こそ最大にして唯一の魅力であり存在意義と思います。それをカタチにすることは簡単なことではないのですが、既成概念にとらわれ過ぎずに探究心を忘れないことこそ、永遠に必要なことだと考えます。
現在、全7色にて商品化。

七宝フレークのご購入などに関しましてのお問い合わせ先
ネイルサロン 藍rish

擬宝珠

奈良県平城京跡にある大極殿復元に伴い、2009年に「擬宝珠」(ぎぼし)といわれる5色の宝玉を合計約70個制作しました。玉の部分が七宝製で制作期間はおよそ6ヶ月。
このような球体の形をした七宝は作ることがきわめて困難なため、技術的な研究や専用作業道具の開発に力を注ぎ、無事完成させることができました。

携帯電話ジャケット

2005年3月、弊社3代目加藤芳朗の大学卒業制作をきっかけに制作した「携帯電話ジャケット」。(着せ替えケータイバージョン)
稚拙な技術レベルの中、本人自ら初めて本格的に七宝と格闘し作り上げた苦心作です。尾張七宝の新たな可能性を感じさせるものではありましたが、残念ながらお蔵入りしています。

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