加藤七宝

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三代目見習い日記

テレビ放送のお知らせ

2015年 5月 20日

5月22日(金)午後7時30分〜放送のNHK BSプレミアム「美の壺」にて、「現代に輝く七宝」というテーマで放送があります。その中で当製作所2代目・加藤勝己の省胎七宝作品が登場いたします。
制作過程の紹介や作者インタビューをはじめ、様々な七宝にスポットを当てた内容で美術工芸ファン必見の番組です。再放送の予定は5月26日(火)午前11時からと、5月28日(木)午前6時30分からの2回ございます。 この機会にぜひご高覧いただけましたら幸いです。
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なお、今回登場する省胎七宝のうち2作品は、現在東京の「伝統工芸 青山スクエア」で開催中の「名古屋伝統工芸わざもん衆祭」に出品しています。5月27日(水)まで開催しておりますので、お近くの方はぜひこの機会に現品の美しさを観に足をお運びいただけましたら幸いです。
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番組サイト
http://www4.nhk.or.jp/tsubo/x/2015-05-22/10/5996/
伝統工芸 青山スクエアHP
http://kougeihin.jp/

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「省胎七宝」
省胎七宝(しょうたいしっぽう)とは、通常の有線七宝と同じような工程を経たのち、酸性液につけ込み素地である銅(胎)をすべて溶かして取り除き、ガラス質の釉薬と模様の輪郭に使用する金属線だけで完成させた技法のことである。金属素地がないため透過性があることが特徴で、その独特の美しい表情は他を圧倒する。
明治30年頃には考案されていたと伝わる技法ではあるが、ひびが入りやすく非常に不安定な技法であり、非常に技法難易度が高い。素地がないため一般的な七宝作品に比べ圧倒的に脆く、素手で持てば、そのぬくもりでひびが入りかねないと言われるほどであった。また不良率は7割以上ともいわれ、完品は大変希少なものである。こういった理由から、近年ではこの技法を習得した職人は激減しており数えるほどしかいないのが現状である。新たな省胎作品が生まれることは、ごく稀である。
作者・加藤勝己は、先人が苦労の末、築き上げたこのような技法が失われつつある現状に長年危機感を抱いていたが、自身の工房を守ることに日々追われ、なかなか手をつけられずにいた。
2011年、加藤七宝製作所の代表を退いたことをきっかけに、自身の作品制作を始めた。そして様々な作品を手掛ける傍ら、3年近くの歳月を費やして省胎七宝の試作・研究も続けた。
下引き、植線、彩色、焼成方法、研磨、溶解の方法など、あらゆる工程を見直し工夫することによって、その完成度を高めることに成功した。これまでの不良率は劇的に改善し、安定的に制作可能な独自の省胎技法を手に入れた。専用の照光器も開発し、2つの顔を持つ七宝が完成した。

posted by Yoshiro Kato

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